退屈に埋もれる王子様の話
The sport of fortune
尖塔のマリオネット
 
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なぁ、最近暇だと思わないか。暇で暇で、腐っちまいそうだと思わないか。―――何? 黙れ、って? 聴こえないね。俺が暇なんだもん。どっかの誰かの戯言なんか聞き流しちゃうくらい、暇なんだもん。お前だって、そんな俺に付き合ってるんだからイコール暇ってことなんだろ。
毎日毎日紙に囲まれて、さ。お前本当なら、人々の祝福に囲まれてるはずだろ。それに笑顔で応えてれば良いはずだろ。なのにこのところ、ずーっと、真っ白な紙相手にしかめっ面。そりゃ侍女だって寄りつかねーよ。お前にひっついてるはずのディアッカだって、俺に全部任せて辺境まで視察行っちゃうよ。とんだ貧乏くじだ。
なぁ、たまにははっきり云ってみろって。誰もお前の我が侭云ったって気になんかしねーよ。……聞きもしねーだろーけど。でも、溜め込むのは不健康だし、何より当てられる俺が可哀想じゃん。なぁ?
だから云ってみろってば。お前、ほんとうはつまんないんだろ? つまんなくてつまんなくて仕方ないんだろ? 外はあんなに天気良いのにさ、乗馬もできないし、この部屋にはチェス台も持ち込めないし。鬱憤ばかり、溜まる一方だ。
俺こんな空気、だいっきらいでさ。
だから、夢を忘れたお前に話してやるよ。






暗くて寒い塔に閉じ込められた、可哀想なお姫様のお話を。




















「その代わり、有休ちょーだい


ラスティの提案は、イザークによりブーメラン式に投げられた紙の束と共に、呆気なく散った