そして賽は投げられた
そう、例えば、小さな命で良い。
人間である必要はなく、ひっそりとそこに在れば良いのだから、ほんとうにそれだけで良いんだ。
誰にも見出されなかったら、その存在さえそれまでで終わりでも構わない。
一種の賭けになるが、それはそれで愉しめるだろう。
だってどうせ、俺はひとり―――
魔女は置いて逝くに忍びないその崇高な命の、それに似つかわしくない願いがあまりにも哀れだったので。
もう契約外だと判っていながら、その不思議な力をすこしだけ分け与えてやることにしたのです。