ベッドに仰向けに寝転んで、携帯電話を持った手を上に掲げる。視界でゆらゆらと揺れるのは、先日行った遊園地でスザクに買ってもらったストラップだ。二つセットになっていて、合わせるとハート型になるというコンセプトの商品の片割れ。当然、その相方はスザクが持つ携帯電話にぶら下がっている。
お揃いなんて恥ずかしいし、ストラップ自体が邪魔くさいとばかり思っていたのに、スザクに云われた通り早速つけているのだから全く自分の脳もやられている。いや、やられているのは心だろうか。
どちらにせよ、今まで知らなかった自分の一部分であることは確かだ。
遊園地からの帰り道、いつの間に買ったのか、少し照れたような笑顔と共にストラップを差し出されたときの会話を思い出す。


『あの、ずっと聞こうと思ってたんだけど―――』


ルルーシュは目を閉じて、スザクと付き合ってからの日々を、否、日本に来てからの日々を思い返した。やはりどんなに色々思い出を引き出そうとしても、スザクの笑顔がその大半を占めている。いつの間に、スザクはこんなに自分の中に浸食してしまったのだろう。そして、先日の別れ際に見せた、少し思いつめたような初めて見る表情と―――


「―――決めた」


ルルーシュはそう声に出して、寝転んでいた身体を起こした。
そして手で弄んでいた携帯で電話帳を開く。掛ける先は、短縮一番。これを人生最後の我が儘にするために……もう、迷わない。