fly at higher GAME.







Ready, GO!




























「あ、れ……?」


本日の獲物の確認のために決めておいた中継地点。
その場所に降り立ったキッドは、顔を顰めた。いつもならば、自分を待ち構えている筈の人物が今日は居ないのだ。


―――確かに、今日の捜査に加わるとの情報を得ていたのに。


辺りを見回して気配を探ってみても、遠く、サイレンの音しか聞こえない。


(毎度毎度ご苦労なことで)


中森警部はきっと自分のダミーを追って、明々後日の方向を捜索していることだろう。
自分が心待ちにしている人物は今は姿が見えない。苦笑いを浮かべ、宝石を月に翳した。そして、いつもながらに無慈悲に己を突き放す反応のなさにため息をつく。毎度の事とは言え、こう何度もだといい加減疑いたくもなってくる。―――本当にパンドラはあるのかと。
いつもならばあの至高の宝石が側にいて、こんな気持ちも吹き飛ばしてくれるのだが。


(……本人は気付いてないだろうけど)


しかし、今その存在は側に居てくれなかった。それだけでひどく落ち込んでいる自分を認めてしまう。


「……行ってみますか」


そう呟くと、キッドはその中継地点であるビルの屋上から、ある場所を目指して飛び立った。

next 空には月。冴え冴えしいほどの光を放ち、空を舞う白き鳥を包み込んでいた。