箱庭に鎖された愛





たったひとりの愛しい君へ、





辛いのなら忘れておしまい
せっかくの笑顔を、その想いが曇らせるくらいなら、良かったはずのできごとさえもが今を締め付けるなら、綺麗な思い出ごとどこかへ捨てておしまい
この存在が一番怖かった記憶を引き摺りだす引き鉄となるのなら、その記憶のトリガーにかけた指をそっと離すだけで良い
たったそれだけで、総て終わらせることができるんだ
どうせその銃弾は、君より先にどこかへ消えゆくのだから



そうしたら、目を開いた瞬間映る景色は、うつくしいばかりの世界だろう










大丈夫さ
偽りの世界の中で、君への愛だけがほんものだった
俺はそのときの君の笑顔だけを閉じ込めて、俺の愛に返してくれた笑顔だけを切り取って、他にはもう望まない





災厄は去った


そう、だから……





もう何も、怖いことはないんだよ